2019年03月26日

慶應SDMメソドロジーラボ主催公開ワークショップ「良い問いを立てる 〜システムxデザイン思考における5つの問題定義アプローチ〜」

慶應SDMメソドロジーラボ主催の公開ワークショップをおこないます。
「問い」の重要性は色々な人がいわれており、「良い問いを立てる」ことを目指しますが、なかなか簡単ではありません。慶應SDMのメソドロジーラボでは、「良い問いを立てる」ことを支援する”5つの問題定義アプローチ”をつくり、慶應SDMの授業で教えてきました。この公開ワークショップでは、”5つの問題定義アプローチ”の一部を体感的に理解してもらい、参加者の活動にいかしてもらう目指しております。今回は、GWに2回のワークショップをおこないます。ファシリテータはことなりますが、基本的に学ぶものは同じとなっております。
4/29は一般向けとなっており、どなたでも申し込みが可能です。
5/6は、学生に限定となっております。5/6は無料の懇親会を用意しております。参加者同士、慶應SDM関係者とでネットワークを構築してください。
なぜ問題定義をおこなうのか?普通の問題定義では何がいけないのか?と思われるかたもいらっしゃると思います。もし現在解けてない課題をそのまま真正面から解こうとすると、突破口が見つからないことが多いです。だからこそ、誰もが知っている課題が目の前にあるわけです。また、少しでも解けそうなものは、すでに多くの人が解こうと頑張っています。つまり解く問題を決めた時点ですでにRed Oceanになります。なので、これまでとは違う角度から問題を捉え直して、定義をし直す「リフレーミング」をおこなうのです。
「普通じゃないけど面白い!しかも重要!」という問題に捉え直すことをめざします。そうすることで、魅力的で実行する価値があるInnovative problem spaceを見つけ出すのです。問題の切り口が変われば、それを解くSolution Space自体もかわるため、これまでとは違うソリューションを考えることができるのです。
このような考えのもと、世の中の事例や、慶應SDMの授業の中での学生たちの事例を多くみることで、いくつかのパターンがあることを見つけました。決して、これらは全てではないのですが、まずパターンにあわせてやってみることで、これまでとは違った世界を見ることができるのです。このパターンが5つあるので、”5つの問題定義アプローチ”という言い方をしています。白坂も講演等で簡単にお話することはあるのですが、実際にやってみるとなると時間がかかるため、今回は終日のワークショップを用意しました。


4/29 一般向け:

5/6 学生向け:
posted by しらぴー at 12:43| Comment(0) | その他

2019年03月24日

システムアーキテクチャシンポジウム

2019年3月22日(金)に慶應義塾三田キャンパス北館ホールにてシステムアーキテクチャシンポジウムを開催しました。
現在、政府では、つながる社会・データが活用される社会によって、よりよい価値を人に提供できるSociety5.0の実現を目指しています。つながる社会・データが活用される社会の実現のためには、データが相互にやりとりされ、利用されるような仕組み、つまり、新たな社会・産業のアーキテクチャを実現する必要があります。社会・産業のアーキテクチャが、プラットフォーマのような新たな産業プレイヤーの促進・抑制にも影響を与えることになります。同時に、MaaSのように複数のシステムがつながることで実現される社会・産業をデザインするためにも必須となる考え方となっています。世界ではNISTのようにシステムアーキテクチャという考え方を導入することで、新たな産業競争力を確保する動きをみせているところもあります。 
本シンポジウムでは、経産省および産業界と協力して、システムアーキテクチャについて様々な側面からのアプローチを知ることで、システムアーキテクチャという考え方およびその重要性について理解を進めることを目指して開催いたしました。当日は、約200名の方々に参加いただき、盛況に開催することができました。以下に簡単にシンポジウムをまとめたいと思います。

具体的には、以下のような流れでおこないました。
  • 14:00 〜 14:10:開会のご挨拶(慶應SDM 白坂)
  • 14:10 〜 14:40:システムアーキテクチャはなぜ政策として重要なのか(経済産業省 商務情報政策局 瀧島企画官
  • 14:40 〜 15:40 :システムアーキテクチャの基本的考え方(Vitech社社長、元INCOSEプレジデント David Long氏)
  • 15:40 〜 16:00:休憩
  • 16:00 〜 16:30:東芝IoTリファレンスアーキテクチャ(東芝 Chief Strategy Officer 島田氏)
  • 16:30 〜 17:00:DENSOの考えるMaaSアーキテクチャ(DENSOMaaS開発部 梶岡氏)
  • 17:00 〜 17:30:システムアーキテクチャをデザインする(慶應SDM 白坂)

まず、白坂が、なぜこのようなシステムアーキテクチャに特化したシンポジウムを企画したのか、その位置付けも含めて説明した上で、経済産業省 瀧島企画官から、なぜ経済産業省がシステムアーキテクチャに着目しているかを説明いただきました。要するに、社会・産業のアーキテクチャのアーキテクチャに応じて、どのような法を整備するかがかわってくる。それにより、どのような産業を醸成あるいは規制しようとするのかがかわってくるということになるので、経済産業省がそれに興味を持っているということになります。そこでは、社会・産業のシステムアーキテクチャについて考える新たな組織設立を目指していることも示されました。
IMG_4967 (1).jpg
次に、David Long氏から、システムアーキテクチャというのはどういうものなのか?について、基本的な概念をわかりやすく説明してもらいました。この講演は、INCOSEで講演されたものをより詳しく説明したもので、基本的な概念を説明したものとしては本当に素晴らしい内容でした。
休憩を挟んで、東芝の島田氏から、ドイツのインダストリー4.0が、ドイツの政府政策のどこに位置するもであるかを説明した上で、東芝がIoTリファレンスアーキテクチャをどのように考えてつくったのかについて説明いただきました。
また、デンソーの梶岡氏からは、実際にデンソーがMaaSの実現にむけておこなっている活動を紹介しながら、デンソーの考えるMaaSアーキテクチャについて紹介をしていただきました。
最後に、白坂の方から、専門性を持った人が対象を俯瞰的に捉える難しさを説明した上で、多数の専門家の考えを同等することによってシステムアーキテクチャを表現していくこと、それを使って、つながる社会にむけてどのようなことをやっていけばいいのかについて説明をしました。慶應SDMは多くの専門家が集まる場所であるからこそ、「自分が正しい」と考える専門家の持つ専門家バイアスの存在を痛感しており、多くの視点が必要となる社会の俯瞰においては、完全に間違った方向にいたる可能性があるため、このあたりの注意を再度強めに説明させていただきました。
IMG_5019 (1).jpg
このようなシンポジウムを引き続きおこなっていきたいと思っております。

posted by しらぴー at 18:17| Comment(0) | システムズエンジニアリング

2019年03月19日

ヤングリーダーのための世の中を変えていくための思考法を学ぶ 2Day ワークショップ

3/16(土)、17(日)の2日間にわたり、慶應SDM システムデザインメソドロジーラボ(メソドロジーラボ)主催の「ヤングリーダーのための世の中を変えていくための思考法を学ぶ 2Dayワークショップ」を開催しました。
世の中の課題を解決し、新価値を創造するのため思考法であるシステム×デザイン思考と、それを実現するためのアプローチであるシステム思考を知り、体感的に理解するための2Dayワークショップを招待者限定で行ったもので、今年で3回目となります。
参加者は特定の学生団体のリーダクラスおよび過去の参加者および慶應SDMメソドロジーラボ関係者からの紹介のみとなっております。新しいことを考えだし、そして実現することを続けていきたいヤングリーダー(及びその候補)限定のため、公開ではなく、招待制にしてあります。ワークショップを通じて慶應SDMで教えているメソドロジーを学ぶだけでなく、今後に役立つネットワークの構築も目指しています。実際、このワークショップを通じて知り合った学生団体の連携や学生個人同士の連携などがおきています。招待制ということもあり、参加費は無料でおこなっています。

講師(ファシリテータ)は、以下の3名でおこなっています。
白坂成功(慶應義塾大学大学院SDM研究科教授)
五百木誠(慶應義塾大学大学院SDM研究科准教授)
広瀬毅(慶應義塾大学大学院SDM研究科特任助教)

また、2日間の昼食時、夕食時にもゲスト講演者を招き、ゲストの話を聞いた上でディスカッションをおこなっています。今回は、以下の4名の方に講演をお願いしました。
・社会的投資推進財団 インパクト投資オフィサー 兼 株式会社ウィルフォワード 事業開発担当 陶山 祐司
・株式会社 HEART CATCH代表 西村真理子
・アクセンチュア株式会社 人事部 マネジャー 人事戦略 兼 新卒採用責任者 佐藤 優介
・株式会社 ima 代表取締役CEO 三浦亜美

どの講演も講演者の実際の体験に基づいたお話でこれから色々なことに挑戦しようとしている若者にとっては大変示唆に富む講演・ディスカッションとなりました。

来年も同様におこなっていく予定です。


posted by しらぴー at 11:31| Comment(0) | SDM

2019年03月14日

10期生メソドロジーラボ学生の論文リスト

2017年度春入学生は、慶應SDMの10期生になります。10期の学生達も、これまで学生同様に大変すばらしい研究をしてくれました。白坂も白坂研の学生だけでなく、メソドロジーラボ学生メンバーの研究も指導させて頂きました。慶應SDMは、自分の指導教員だけでなく、他の先生の指導を受けることも可能というのが一つの特徴となっています。
以下が10期生でそれなりの時間をかけて研究指導をさせてもらった学生達の論文リストとなります。どの研究も思い出深いですね。

  • 自らのコミットメントに基づいた事業計画の設計を支援する手法の研究
  • 組織変革に向けた組織効力感を強化するための方法の提案
  • 性能向上の方向性と対抗技術比較を活用した防衛装備品の不連続な未来洞察手法の提案
  • 段階的詳細化と客観的評価指標を導入したリスク特定・分析プロセスの提案
  • 個人的学びの経験を主体的に第三者に共有するに至る行動変容を促すプロセスの提案
  • 都市公園型フィットネスシステム䛾提案
  • コミュニティの活性度を可視化し向上させるため手法提案(五百木研)
  • 階層構造を用いてコンセプトの顧客価値評価を支援する手法の提案(五百木研)
  • ダイバーシティ経営における課題発見と従業員モチベーション向上のためのツールの提案(五百木研)
  • 越境的学習において知識の仲介を促進する手法とツールの提案(五百木研)
  • バリューグラフによる組織活性レベルの向上手法提案(五百木研)
  • 高校生を対象とするイノベーター力向上プログラムの提案(五百木研)
  • 起業家行動を促す指針と手法の提案(五百木研)
  • 営業レベル向上を一流営業パーソン行動特性モデルの提案(五百木研)
  • コモディティ化した商品群に対する製品コンセプトの差別化を支援する手法の提案(高野研)
  • チーム活動の成否に影響する要因についての研究(谷口直子研)
  • 新しい取り組みを伝えるクラウドファンディングWebページ改善ガイドラインの提案(谷口直子研)
  • 難民の地域定住促進を目的とするアセスメントツールの提案(谷口智彦研)
  • 小規模組織のための宇宙機用機器の開発プロセス策定を支援するシステムモデルの提案(西村研)
  • 市民協働によるドクターヘリ着陸援助を可能にするパイロットとの視覚的コミュニケーションプロセスの設計と検証(神武研)

彼らの修了式ももう目の前です。
posted by しらぴー at 09:54| Comment(0) | SDM

2019年02月28日

システムアーキテクチャやシステムズエンジニアリング にかかわる公開イベント

システムアーキテクチャの重要性について、前の記事で投稿しました。見つからない人はこちらから辿ってみてください。
このシステムアーキテクチャの重要性をつたえるために、白坂が慶應SDMにて運営しているアーキテクティングラボにて、イベントを開催することとなりました。アーキテクティングラボは慶應SDMができたのち2009年につくったものですが、しばらく表立って活動をしておりませんでした。しかしながら、システムアーキテクチャという概念の重要性が強く主張されはじめたこともあり、改めて表向きの活動も開始いたしました。
ちなみに、システムアーキテクチャシンポジウムは以下のリンクから申し込みができます。

さらに、Complexなシステムを開発するためのアプローチであるモデルベースシステムズエンジニアリング (MBSE)の大家である、Vitech社の社長でもあり、INCOSEのPresidentでもあったDavid Long氏によるMBSE入門講座も開催いたします。こちらも1日で、MBSEの基本的な考え方を理解できる講座となっており、以前、白坂研としてClosedで開催したときにも大変好評だったものです。こちらを一般公開という形で開催いたします。
MBSE入門は以下のリンクから申し込みができます。

みなさんの参加をお待ちしております。


posted by しらぴー at 20:52| Comment(0) | システムズエンジニアリング

2019年01月28日

システムアーキテクチャとは

システムアーキテクチャーとは何か?
国際標準ISO/IEC/IEEE42010-2011(旧IEEE1471)を見てみると以下のように定義されている。
fundamental concepts or properties of a system in its environment embodied in its elements, relationships, and in the principles of its design and evolution

世界で最初に広まったシステムズエンジニアリング ツール「CORE」を出したベンダーであるVitech社が無料で配布している冊子"A Primer for Model-Based Systems Engineering”(2nd Edition)では以下のように説明されている。
System architecture/synthesis is concerned with what physical structure offers the best balance−considering manufacturing, testing, support, and other factors−in answering the customer’s need for the system.

また、Cameron, Bruce; Crawley, Edward; Selva, Daniel. Systems Architecture, Global Edition (ページ17).  . Kindle 版.では、以下のように書かれている。
architecture is an abstract description of the entities of a system and the relationship between those entities. In systems built by humans, this architecture can be represented as a set of decisions.

要するに、システムアーキテクチャとは、
システムの基本的な概念であり、
顧客のニーズを満たすためにバランスのとれた
システムの構成要素とそれらの関係性を表すものであり、
デザインと進化の原則となるものである。
設計者がおこなった一連の意思決定を反映したものである。

といったところでしょうか。
実際に、システムのアーキテクチャは、システムを特徴付ける。システムをどのようなアーキテクチャにするかは、まさに、そのシステムでどのような価値を提供するのか、提供する価値をどのように実現するのかを決定づけるものである。例えば、AIやIoTやビッグデータなどといったときに、これらをどのように活用して、どのような価値を提供するのかは、システムアーキテクチャをどのようにするのかにかかってくる。

SEBOKにあるとおり、上記の定義では、” fundamental”というのが曖昧で、明確に定義されていないという問題点がある。実際には、なんのためにその"architecture"を必要とするのかによって、抽象度が変わってくる。
これらを踏まえると、OMG Systems Modeling Language Specification, version 1.2, July 2010. における以下の定義も参考になる。

 “The organizational structure and associated behavior of a system. An architecture can be recursively decomposed into parts that interact through interfaces, relationships that connect parts, and constraints for assembling parts.”



慶應SDMにおいて設立当初から、このシステムアーキテクチャに着目したアーキテクティングラボを運営してきました。対象とするシステムは、ハードウェア・ソフトウェアシステムに限らず、ソーシャルシステム、ビジネスシステム、イノベーションシステムのアーキテクチャなど幅広く分析・ディスカッションをしてきました。

例えば、2010年度は「System Architecting of the Art」をテーマとして、人の心を動かすシステム(Art)をアーキテクチャの観点から分析することを行いました。メンバーが興味のあるArtについて、アーキテクチャの観点から分析し、報告する活動を行いました。この中では、映画のアーキテクチャ、ドラマのアーキテクチャをはじめとして、楽曲のアーキテクチャ、俳句のアーキテクチャ、色彩のアーキテクチャなどの興味深いアーキテクチャ分析結果が報告してもらい、ディスカッションをしました。対象は多岐にわたりましたが、その中から「緊張と弛緩の関係」、「アーキテクチャの時間的変化というアーキテクチャ」というArtのアーキテクチャに特徴的に見られる新しい観点を見つけるなど、面白い議論をしました。このアーキテクティングゼミはしばらく緩やかな活動しかしてなかったのですが、今年からまた積極的に活動をすることとしました。
posted by しらぴー at 01:46| Comment(0) | システムズエンジニアリング