今年度の春の「SDM序論」の授業も終了した。
この授業は、システムアプローチがあらやるシステムのデザインに使えることを体感的に理解するための授業であり、プロジェクトマネジメントやDプロとの関係性も簡単ではあるが説明しているものとなっている。
具体的には、以下のような授業となっている。
まずは、ロジカルシンキングを学び、そのあとにシステムシンキングの手法としての因果関係ループを学ぶ。
ロジカルシンキングが、分割した各要素に着目するのに対し、因果関係ループでは、それらの間の関係性(「因果の関係性」)に着目したものとなる。
その後、システムズエンジニアリング 概要として全体像を学び、プロジェクトマネジメント、デザインプロジェクトとの関係性を学ぶ。といっても、まだどちらの授業も進んでいない中、なかなか理解するのは簡単ではないかもしれない。
次に、システムズエンジニアリング プロセスにしたがって、実際にシステムをデザインする。
まず、「カレーライス」システムをデザインする。それも特殊な環境下で食べる「カレーライス」システムである。例えば、満員電車で食べるカレーライス、温泉に浸かりながら食べるカレーライス、バンジージャンプをしながら食べるカレーライス。どれも環境(コンテクスト)がことなり、ユースケースが異なるため、異なる要求が識別される。その結果、全く異なる「カレーライス」システムがデザインされる。同じ環境を選んでも、やはり異なるデザインになるのは、チームごとの視点の違いのためである。
次に、同じプロセスで、ビジネスを分析デザインする。今年は、本屋さんが対象。既存の街の本屋さんを分析する。次に、本屋の上位の目的を考えた上で、新たな本屋ビジネスをデザインする。(このあたりは、デザインプロジェクトのアプローチを少しいれている。)
次に、同じプロセスで、組織をデザインする。今年も100円ショップのデザインをする。ビジネスの方針を選び、それにあった100円ショップのビジネスをデザインする。その後、隣のチームとのM&Aによる統合をディスカッションする。同じ名前でも、インタフェースが違ったり、役割がちがっていたりする。単に名前を見ての統合ではうまく行かないことがわかる。
最後に、街の防災減災対策をデザインする。
これらすべてを同じプロセス、手法でおこなうことで、「システム」として扱えるものが全て同様のアプローチでできることを体感的に理解できるようになっているのが、SDM序論である。
ちなみに、SDM序論では、いわゆる反転授業をおこなっている。もともと反転授業が言われる前からそういやっていたのであるが・・・
つまり、単なる知識の吸収に時間を使うのは勿体無いので、知識は予習ビデオで学んできて、クラスでは実際にそれを使ってやってみるということをする場となる。理解したつもりでも、実際やってみると意外と難しい。しかし、使っていくなかから学んでいくしかないのでこのようなアプローチとなっている。(もちろん、今の2倍の時間を使ってよければ、座学も実施することができるのであるが)