2018年10月23日

元INCOSEプレジデント David Long氏によるMBSE入門ワークショップ

10月17日に、元INCOSEプレジデント David Long氏によるMBSE入門ワークショップを白坂の関係者向けにクローズドで開催させてもらいました。45名ほどの方に参加いただきました。
昔から日本で講演等をしてほしいと思っていて、色々なイベントのたびに、声をかけていたのですが、なかなかスケジュールがあわず、実現ができていませんでした。今回は、Davidがそのことを覚えていてくれていて、いきなり「日本にいく機会があり、1日時間を作れるんだけど、慶應で何かしようか?」と彼の方からオファーをしてくれたものでした。
本当にうれしい!
もともと、私がINCOSEにいきはじめた2000年のときには、彼の父親James E. Longがアクティブに活動していました。(彼は今年のINCOSE International Symposiumでthe Posthumous Pioneer Awardを受けました。)
その後、DavidがINCOSEにくるようになり、そしてINCOSEのプレジデントになりました。
彼らはVitechというシステムズエンジニアリングツールを販売する会社としてはもっとも古くからある会社の一つであり、COREというツールがもっとも古くからあるものです。
今回のワークショップでは、MBSEの本質的な考え方を教えていただき、参加者も理解が進んだようです。
Davidとは週明けにも打ち合わせをおこない、今後の連携について色々とプランを立てました。
(写真は夜の懇親会の様子です)
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posted by しらぴー at 11:55| Comment(0) | システムズエンジニアリング

2017年06月10日

サイバーセキュリティ研究開発戦略

内閣府サイバーセキュリティセンター(NISC)の作成したサイバーセキュリティ研究開発戦略(案)において、「想定できない変化に対応するための全体設計(デザイン)」の対応例として、階層化FDIRを紹介いただきました。
セキィリティの技術もどんどん発展しており、少し先になると、どのような技術が出てくるかわからないため、このようなリスク対応のデザインが必要となると考えられるようです。
内閣府サイバーセキュリティセンター(NISC)の作成したサイバーセキュリティ研究開発戦略(案)はこちらです。

posted by しらぴー at 02:47| Comment(0) | システムズエンジニアリング

2016年09月15日

アーキテクチャとアーキテクティング

アーキテクチャとは何か、アーキテクティングとは何か。よく聞かれるので簡単に説明をしておきたいと思う。
もちろん、アーキテクチャとは、もとともは建築物のことを指すものである。しかしながら、現在では、CPUのアーキテクチャや製品のアーキテクチャなどの言葉があるとおり、より広く使われるものである。
アーキテクチャとは、“システムと外界(コンテクスト)との関係”及び“システムを構成する要素とその要素間の関係”のことを指す。
慶應SDMでも価値交換のアーキテクチャを表すために価値連鎖分析(CVCA:Customer Value Chain Analysis)や、欲求のアーキテクチャを表す欲求連鎖分析(WCA : Wants Chain Analysis)なども使ったりする。

アーキテクティングとは、アーキテクチャを設計する行為をさして呼ばれるものである。一般的にアーキテクティングを説明すると、大きく以下の2つのポイントが重要となる。
•複数の視点(viewpoint)からシステムを見て、それぞれの視点における要素と要素間の関係をデザインする
•デザイン結果として見えるもの(view)の重ねあわせ(Allocation)を実施する
これをISO/IEC/IEEE 42010 Systems and software engineering – Architecture descriptionでは、以下のように示している。
つまり、対象となるシステム(System of Interest)にはアーキテクチャが存在する。また、対象となるシステムにはステークホルダ(Stakeholder)が存在する。そのステークホルダには関心事(Concern)があり、その関心事に対応した視点(Viewpoint)を設定することができる。その視点から見えるもの(View)が複数存在し、視点と視点から見えるものを集めたものがシステムのアーキテクチャの表現(Architecture Description)である。
具体的には、以下のように考えることができる。一般的な技術システムでは、ステークホルダとして、利用者と開発者が考えられる。利用者としてはどのように使うのか、どのような機能を持っているのかといったことが気になる。一方で、開発者としてはどのように機能を実現するかがきになると考えられる。このため、どのように使われるかの視点(運用視点:Operational Viewpoint)での設計(Operational View)と、どのような機能をどのようなサブ機能で実現するかの視点(機能視点:Functional Viewpoint)での設計(Functional View)と、どのようにサブ機能をハードウェアやソフトウェアで実現するかの視点(物理視点:Physical Viewpoint)での設計(Physical View)で考える。運用をどのような機能要素で実現し、機能要素をどのような物理要素で実現するかを重ねあわせによって決定する。これが一般的な技術システムにおけるアーキテクチャ設計である。同様なことを、組織の設計では、役割(役割視点)と組織(組織視点)で設計するなどによって実現できる。
System Architectureに関する名著としては、"the art of systems architecting"がある。この本では、ArchitectingはEngineeringよりもよりArt側の側面が強く、Science側の側面が弱いといっている。
実際、Architectingでは、解空間が広く、自由度が高いために、いわゆるセンスのようなものによるところが大きい。(もちろん、このセンスはある程度、後天的に身につけることが可能である)
System of SystemのArchitectureとなると、これまたいろいろな難しさがでてくるのであるが・・・・・
posted by しらぴー at 21:07| Comment(0) | システムズエンジニアリング