2013年11月15日

ワークショップデザイン

慶應SDMでは、イノベーション創出に向けたワークショップをデザインする方法論を研究/教育してきました。そして、その一つのやり方を「イノベーティブワークショップデザイン論」という授業で学生に教えています。これは、修士課程の必修科目である「デザインプロジェクト」を履修した学生が、多様な人を呼んでイノベーション創出に向けたワークショップを行なうための方法論となります。
我々は、ワークショップに関連して3レベルを設定しています。
第1レベルは、ワークショップに参加し、デザインされた流れに乗って、ワークショップの参加者として結果を出していくレベルです。例えば、OpenKiDS等の公開講座に参加して下さる方々はこのレベルになります。
第2レベルは、第一レベルのワークショップでやることを普通の会議などで使えるレベルのことを言います。つまり、イノベーション創出に向けたワークショップに必要なことの本質を理解し、グループで自由自在にそのエッセンスを使いながら結果をだしていくレベルです。「デザインプロジェクト」はまさにこのレベルです。グループの多様性をうまく活用し、手法のエッセンスを利用しながらソリューション創出に向かいます。
第3レベルは、多様な人を集め、ワークショップの目的を実現するためのワークショップをデザインするレベルです。「イノベーティブワークショップデザイン論」はこのレベルであり、OpenKiDSや企業研修のワークショップをデザインしているのもこのレベルです。
ワークショップをデザインするには、そもそもそのワークショップの位置づけを明確にし、参加者としてどのような人々がくるのかを理解し、テーマや時間などの制約を加味した上でデザインする必要があるため、なかなか簡単にはデザインできません。
更に、イノベーション創出に向けた活動では、1回のワークショップだけで最終的な答えが出ることはほとんどありません。このため、どのような目的のワークショップと、ワークショップ以外の活動をどのように組み合わせて行くのかもデザインしてあげる必要があります。
このようなことを考え、これまでの授業であるALPS
やデザインプロジェクトのヘリテージを活かして作り上げたのがワークショップデザインの方法論です。
慶應SDMでは、学生に1年をかけてこの考え方、やり方を教えて行っています。また、外部向けとしては、2013年9月18日に初めて文科省から委託を受けている「イノベーション対話ツールの開発」という事業において、公募で選ばれた約30の大学からの参加者に向けて、事業のキックオフの一環として公開させていただきました。また、外部からの要望も強かったため、2013年11月10日のOpenKiDSで公開させていただきました。
これまでもワークショップのデザインは幾つかの場所でおこなわれいましたが、イノベーション創出にに向けたワークショップのデザインという文脈ではこれまであまり公開されていなかったものを公開出来たのではないかと思っています。
特に、デザイン思考を活用するワークショップを凄くシステム的にとらえてデザインしている点に特徴があります。こうすることで、他人に伝えやすくなり、理解できる人を爆発的に増やすことが可能となります。更に、検証を段階的に出来るのも大きなメリットで、VerificationとValidationとを明確に区別しながら評価できるので、ワークショップのどこがどのようにうまく行かなくなったにのかを評価できるようになります。これは、方法論の評価としても、また方法論を使ってデザインしたワークショップの評価としてもとても有益です。
現在は、毎週コンスタントに行っているワークショップや、本当に結果を目指している企業との案件を通じて、この方法論をさらにブラッシュアップしていきたいと考えています。
posted by しらぴー at 18:06| Comment(0) | デザイン思考
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