2013年12月05日

System of Systems : システムオブシステムズとは

最近、実際に企業さんのサポートをしていると、System of Systems(システムオブシステムズ)の概念を理解していないと対応が正しくとれない状況にであう。一方で、ネットを調べると、System of Systemsが決して正しく説明がされていない場合にも遭遇する。System of Systems(システムオブシステムズ)を正しく理解するためには、システムズエンジニアリングをきちんと理解していることが大前提となっているからかもしれない。
そもそもシステムとは何か。システムの定義はおいておいて、システムは複数の要素から構成されているといえる。このとき、システムの構成要素(通常はサブシステムと呼ぶ)もまた、システムとして扱える(場合が多い。)つまり、サブシステムも更に小さい複数の要素から構成されている場合に、このようなことが言える。これは、システムズエンジニアリング標準の元祖であるMIL-STD-499の流れを汲むANSI/EIA-632 Process for Engineering a Systemの中で、"System Concept"と題された章で説明がされている。これをBuilding Blockと呼ぶ。これは大変重要な概念を説明している。つまり、システムとシステムを組み合わせたものはシステムであるということである。そして、システムズエンジニアリングは、このシステムを扱う考え方をまとめたものである。
では、System of Systems(システムオブシステムズ)は何なのか?ときどき、システムとシステムが組合わさった巨大なシステムがSystem of Systems(システムオブシステムズ)であるという定義をしている人がいる。しかしこれは、ANSI/EIA-632によると、これまでのシステムの定義からでるものでは決してない。
この疑問に対して、クリアな回答を出してくれたのが、米国の政府系コンサルティング会社であるAerospace Corporationの副社長であったM.W.Maier博士である。彼が1998年にINCOSE (International Council on Systems Engineering)のジャーナルで発表した「Architecting principles for systems-of-systems」によると、System of Systems(システムオブシステムズ)の構成要素のそれぞれがシステムとして扱えることとしている。更に詳しくのべると、運用の独立性とマネジメントの独立性があることと言っている。
INCOSEのSystems Engineering Handbookの例に基づいて、この条件をチェックしてみると、以下のようになる。
INCOSEのSystems Engineering Handbookでは、デジタルカメラとカラープリンタを統合したものをSystem of Systems(システムオブシステムズ)の例としてあげている。つまり、このSystem of Systems(システムオブシステムズ)は、撮影したものを印刷するというサービス(機能)を提供している。このとき、デジタルカメラは、デジタルカメラで独立して使われることができている。つまり、それ自体が意味を思っている。一方で、カラープリンターも、デジタルカメラがなくても単独で利用され、それ自体に意味を持っている。更にそれぞれの開発は、誰かが統合的にマネジメントをしているわけではなく。多くの場合、異なる会社が勝手にそれぞれを開発している。新製品の投入も誰かが統合的に管理しているわけではなく、個別にマネジメントされているものである。こういったものが集まって、一つのサービスや機能を提供するのがSystem of Systems(システムオブシステムズ)であり、だからこそ、これまでのシステムズエンジニアリングを超えたものとして、新たにSystem of Systems(システムオブシステムズ)という言葉が必要になってきたのである。
これを、単に巨大なシステムをSystem of Systems(システムオブシステムズ)として扱うのは本質的にあまり意味がないことをやろうとしていることとなる。(もちろん、巨大だからこそ難しいこともある。)
では、どういったことで、System of Systems(システムオブシステムズ)という考え方が重要となってきたのか。それは、スマートグリッドやスマートシティという概念が出てきたからである。スマートグリッドをみると、車や家の製品などはどんどん勝手に進化していくが、グリッド全体が一つのサービスを提供するというSystem of Systems(システムオブシステムズ)となっている。こういったシステムは、これまでの開発スタイルでは対応ができないことが出てきているのである。
今後、ますますこれらの対応が必要となってくると考えられる。
posted by しらぴー at 18:46| Comment(2) | システムズエンジニアリング
この記事へのコメント
白坂先生、こんにちは。最近SoSを深くほりさげる必要性に迫られこのブログに遭遇しました。もともとはNISTのCPSフレームワーク(https://pages.nist.gov/cpspwg/)に記載されているSystem-of-Systemsの構成要素は何か?を考えたときに二つの要素が頭に浮かんでいました。一つはOrchestratorもう一つはService Manager(API Management)です。現在SoSの役割としてこの二つが妥性を検証中です。機会があればSDMにお邪魔したいと考えています。山本
Posted by 山本宏 at 2018年07月30日 10:35
山本さん
先日は、この件を色々と議論させていただきありがとうございました。
引き続き、議論させてください。本当に色々と生まれてきていますね!
Posted by しらぴー at 2018年08月27日 17:36
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