Aalt大学を訪問したのは、SDMととても似たコンセプトの大学院があるためです。それはIDBMという専攻で、ここでは技術とビジネスと芸術をすべて教える専攻となっています。そこで教えているのはデザイン思考を中心としたイノベーションで、プロジェクトベースの授業もやっています。
学生の半分近くが就業経験をもっているなど、SDMとの共通点はたくさんありました。
Aalt大学には、デザインファクトリーという名の建物があります。古い倉庫を改装したものですが、内部は電気工作や機械工作を行う場所やそれを支援するスタッフなど、すぐにプロトタイプをつくるのを助けてくれる仕組みでいっぱいでした。
建物を移動するための引っ越し準備中だったにもかかわらず、IDBMの先生方とたくさんの議論をする時間を作っていただきました。このときにSDMのユニークさを痛感することができました。例えば、IDBMは技術とビジネスと芸術をつなぐための学術体系をもっていないとことでした。これは特に驚くことではなく、Interdesciplinaryをうたう大学がどんどん増えてきていますが、多くの大学が専門性を持った人にデザイン思考などグループで考える方法を教えるだけでInterdesciplinaryを実現しようとしています。それに対し、SDMは元々複数の技術分野を統合する学術体系であるシステムエンジニアリングを基盤とし、それを拡張して非技術的なシステムにも適用できるように拡張ししています。これがあるおかげで、いろいろな分野の人がきても同じように教えることができるのです。さらにシステムエンジニアリングの上にデザイン思考的な考え方を加えることによって、幅広く問題を捕らえ、ある部分はとても論理的に、ある部分はとても発想的に
することができるようになりました。これは慶應SDMが他にもっていない特徴となります。
今回のAalt出張では、更にお互いの特徴を理解することができ、とても有意義なものとなりました。