今回のテーマは、Assurance Caseという、システムの品質を保証するための方法についてでした。System Assurance Caseでは、システムの品質を保証する場合に使われますし、Safety Caseでは安全性を保証するために使われます。
このAssurance Caseの表現方法として、Goal Structuring Notation (GSN)という表現方法があります。この表現方法のすごいところは、設計者が何を考えて、品質(あるいは安全性)を満たすことができると考えたのかを可視化することができるところです。もともと、”ケース”という考え方は、設計者の考え方を、体系立てた証拠群として、他者に示すために考えられたものです。品質を保証するための体系立てた証拠群として、アシュアランスケースの考え方が生まれました。
今では、欧州を中心に、航空、プラント、鉄道など、高品質が要求されるシステムで利用され始めています。しかしながら、問題がないわけではありません。2006年に空中給油機が、空中給油直後に火災を発生してしまうという事故が起きてしまいました。このシステムはアシュアランスケースを記述していたにもかかわらず、第三者は、そのアシュアランスケースを見ても考え方が理解できず、最終的に事故につながってしまいました。そこで、まだまだアシュアランスケースの記述方法について未成熟であるということが事故報告書でなされました。
今回のM2の学生の研究は、システムエンジニアリングの考え方に基づいて、アシュアランスケースの記述ルールを提案し、それを超小型衛星の実開発に適用したものでした。国内の学会で2回、国際学会で2件発表し、更にNASAにまで呼ばれるという
なかなかいい成果を残していただきました。
慶應SDMの修士課程は、1年目は授業でかなりの時間を費やし、2年目に主に研究を実施するという欲張りな大学院ではありますが、本気でやれば国際的に評価されるほどの研究をすることができるということを示してくれたいい例となりました。
このM2の田中さんも、NASAに招待されて、会議で発表をしたところ、NASAも近いことをやっているためか、質問攻めになりました。(田中さん、プレゼンおつかれさま!)
ちょうど、知人がNASA Ames Research Centerにいたため、前日の夜には近くのおいしいシーフードのお店でみんなでシーフードを頂きました。また、彼のラボも訪問させていただき、生命維持装置の研究について、いろいろと教えていただきました。これまたとてもエキサイティングな研究でした!
最後はもちろん、バーで一杯!