CRMとは、”市場に対してイメージ、製品、サービスを有する企業が相互利益の為に、1つまたは複数のコーズとリレーションシップやパートナーシップを構築する活動”(Pringle and Thompson, 1999)と定義されており、企業の収益と課題(コーズ)を抱えた人、国、組織の両方がメリットを得られるマーケティング手法として注目を浴びています。
特に有名なのは、1983年にアメリカンエクスプレス社が行った自由の女神キャンペーンと言われるものです。これは、クレジットカードのカード利用額1回につき1セントを寄付し、自由の女神の修復のための費用にするというキャンペーンです。多くのアメリカ人の心をうち、結果としてクレジットカードの利用が大きく増えたというものです。これを受けて、ボルヴィックが1L for 10L、U2のBONOがダボス会議で提唱して始まったエイズ対策支援のProduct Redなど、世界的にいろいろなCRMがおこなわれるようになりました。
このようなCRMですが、上述したとおり、企業とコーズを抱えるステークホルダがWin-Winの関係にならなければいけないため、設計するのが容易ではありません。
一方で、WCAは慶應SDMで開発した手法ですが、利他的な欲求を明示的に扱うことが可能な設計手法であるため、これを利用してCRMを設計するという研究を進めてきておりました。実際に社会経済システム学会において発表したWCAを活用してCRMを設計するための方法論を今回のワークショップで紹介させていただきました。
多くの方から、ワークショップの時間が短すぎるとのコメントを頂きました。確かに、ワークの時間はたった45分でしたので、45分間でCRMを設計するとうのは通常の業務ではあり得ないものではありますが、慶應SDMで提案しているWCAを使ったCRM設計の方法論の有効性は体感していただけたのではないかと思っています。
今回は、慶應SDMが3Mに特注して作っていただいたWCA専用ポストイットの他にも、ホワイトボードペーパー(ホワイトボードと同じ機能を持った紙)を使っていただき、なるべく便利にWCAを使ったワークショップを進められるようにさせていただきました。これまでにOpenKiDSに参加されている方は、徐々に進化しているワークショップにも驚いていただいたようです。(^^)
今後も最新の研究成果をどんどんみなさんに紹介していきたいと思っております。