2016年03月01日

修士論文

無事、修士2年生の修論審査会が終了いたしました。長いようでとても短い2年間でした。修士2年生うち、白坂・五百木研及び白坂がそれなりに指導をした学生の研究を簡単に書いてみました。
本当に多岐に渡るテーマでしたが、みんな単に分析するのではなく、何かを作り出すための方法論を研究してくれてとても楽しむことができました。更に、学生が頑張ってくれて、国際学会でもたくさん発表してくれました。



○コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)の導入容易性を高める設計手法
ボルビックの1L for 10Lで知られるCRMですが、その企業にぴったりとくるCRMをデザインすることはなかなか容易ではありません。本研究では、事例分析をベースにCRMの設計手法と評価手法を構築し、更に現在のビジネスデザインの現場でよく使われるビジネスモデルキャンバスを拡張することでCRMが設計できるとことまで仕上げました。
○地方公共サービスのアーキテクチャフレームワークの提案
 地方公共サービスのデザインは、特に決まった方策がなく、経験的におこなわれているのが一般的です。本研究をおこなった学生は、実際に地方公共サービスのデザインを実施した経験からその問題点に気づき、システムズエンジニアリングのアーキテクチャフレームワークを応用することで、地方公共サービスというものに特化したアーキテクチャフレームワークを構築し、実際に地方公共団体の方にご協力いただきその適用を実施した研究です。
○初期目標達成に向けた行動継続促進手法の提案
 「継続は力なり」これは多くの人が知っており、実践しようとするものですが、実際に継続しつづけるのは容易ではありません。本研究では、人の行動継続かかわる状態を4つ定義し、それらの遷移条件として3つの項目を明確にし、モデル化した上で、初期目標を達成するために行動継続を促進するための手法にまで落とし込んだ研究となりました。
○俯瞰と構造化のための思考フレームワークの構築
 対象を俯瞰化するのは容易ではなく、特に日本人は欧米人に比べ、俯瞰的に対象をみることに慣れていない場合が多いです。このフレームワークは、そのような人たちが俯瞰的に捉え、その中がどのような構造となっているかを支援するためのものでとなります。実際にこのフレームワークを実業でも使いながら、改善に改善を重ねて作り上げたものとなりました。
○タンジブル・ラーニングとアナロジー的推論を用いた制作プロセスの提案と写真制作プロセスへの適用
 本研究では、500人もの人に協力していただいた実験を通じて、触感覚を使った学習と、アナロジー的推論がどのように発想を支援するかを分析、明確にした上で、その組み合わせによって今までに無いもの発想するためのガイダンスフレームワークを構築しました。そして、それを写真制作に適用し、実際にプロの写真家でも考えつかないよう写真を発想することを支援できることを確認したものとなります。
○システム安全設計の質と伝達性を向上させる表記法の提案
 この研究は、FTAとD-CASEを少し拡張することでシステムの安全性の向上に寄与しようとするものです。アプローチとしては、設計者自身の活動を支援することで安全設計の質の向上を促すことと、ステークホルダとの安全情報の共有(伝達性)を向上することを狙ったものとなっています。実際に多くの方に参加していただいて、色々と実験をさせていただくことで実効性の高い提案の出来た研究となりました。
○ソーシャル・キャピタルの成熟度モデルの開発
 地域活性化などに地域のつながりであるソーシャルキャピタルが重要であることがいわれて久しく、ソーシャルキャピタルをはかるための研究がいろいろと進められて来ました。本研究では、地域活性化を実施する組織のソーシャルキャピタルの成熟度を、CMMIの考え方を活用して作り上げたものです。世の中の成功事例、失敗事例を元に構築し、それを50の地域活性化事例とインタビューをつかって実際に計測しました。これにより、現在の強みや弱みがわかるとともに、次にどういったことをやっていけばいいかを考えるための枠組みをつくりあげることができました。
○システムズエンジニアリングを用いた「東京モーターショー2.0」のデザイン
 もちろん誰もが知っている東京モーターショー。これまでに長年開催されてきていますが、近年はなかなか狙った効果をえられていない状況にあります。本研究では、2019年に開催される東京モーターショー(東京モーターショー2.0)をシステムズエンジニアリングを適用してデザインするとともに、そこで明確にされた新たな仕掛けを実際に2015年の東京モーターショーで実践をして評価したものです。本研究を実施した学生は、引き続き2019年の東京モーターショー2.0へむけて活動を継続中です。
○CSV実践のための コンセプト設計プロセスの提案
 2011年にマイケル・ポーターがCreating Shared Valueという考え方を提示しました。これは、企業の収益活動と社会課題の解決活動を一致させる取組みで、企業の経済的価値と社会的価値の両立 を目指すものとなります。これにより企業、社会の持続可能性 向上に大きく寄与 することができます。ただ、一方で、どのように考えてCSVを設計すればいいのかが明確にされていません。本研究では、CSVを設計するためのプロセスを提案するものです。
○宇宙システムのレジリエンス評価のためのオントロジー構築
 日本の宇宙システムのレジリエンス向上は、宇宙政策でも課題としてあげられている重要なテーマです。宇宙システムのレジリエンスを向上するためには、その評価を行う必要があるのですが、レジリエンスの評価方法として定まったものはありません。この研究では、宇宙システムのレジリエンス評価のためにどのようなオントロジーが必要かを研究し、実際にそのオントロジーを使って評価をおこう研究となっています。
○Urban Research Farm Hawaii: Normal Operation System Design
 この研究は、ハワイから来ている留学生のおこなった研究です。ハワイは多くの観光客を抱える一方で、土地の制約から野菜の生産量が十分でなく、野菜の生産が課題となっています。本研究では、ハワイという場所の特徴、政策等の特徴を活用しながら、新たな野菜生産を進めるための仕組みをデザインしました。実際に現地の有識者へのインタビューも多数おこない、実現にむけたアドバイスもうけることができました。
○航空輸送システムにおける新技術機体の利用促進戦略の構築
 世の中に新技術が導入されるとき、必ずしも人々はすぐにそれを使いたがるわけではありません。特に、その技術の確かさが自分の命にかかわる場合などは明らかです。では、新技術を使ったシステムを人々がより容易に受け入れる(つまり、信頼する)ためにはどのような方策がとりえるのか。そのアプローチを導出した研究です。今後、ますます新技術を使ったセーフティクリティカルなシステムが導入されることを考えると、社会にとってもとても意味のある研究となっています。
posted by しらぴー at 08:17| Comment(0) | SDM
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