2015年09月14日

モデルベース・システムズエンジニアリング (MBSE)の進め方

最近、いろいろなところで、いろいろな会社の人から、モデルベース・システムズエンジニアリングの相談を受けます。そして、すごく多いのが、「Sysmlを使って書いてみたんですけど・・・・」という相談です。
いつも、「ん?」と思うのですが、あまりにも多くこのような話の持ってこられ方をするので、「なんでこんなことになっているんだろう」と不思議に思ってしまいます。
もちろん、「モデルベース・システムズエンジニアリング」というからには、「モデル」を活用した「システムズエンジニアリング」であることには違いないのですが、システムは多様ですし、その設計のアプローチも多様なので、そんなに単純にはすすみません。
自分としても、エアバス社(当時のダイムラークライスラーエアロスペース、後のEADS Astrium社)に駐在していたいときに、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)を立ち上げたメンバーの一人だったので、その立ち上げのときの苦労とアプローチをはっきりと覚えています。(ちなみに、そのエアバス社は、SysMLを作ったメンバー会社の一つです)
では、当時はどんな議論からはじめていたかというと、まずは、何のためにモデルベースシステムズエンジニアリングをおこなうのか、という点です。コスト削減のためなのか、スケジュール短縮のためなのか、あるいは品質向上のためなのか、目的によって、そのあとの検討が全くかわってきますので、まずはそこを明確にしました。もちろん、自社の戦略ははっきりしていますので、ここではそれほど時間がかかりませんでした。
次におこなったのが、では、開発プロセスの中で、どこをどのような(抽象度の)モデルにすれば、その目的を実現できるかの検討でした。これは、開発プロセスを明確にし、どこでどのようなモデルがあれば、よいか、そのためにはどのような情報が必要なのか、といったことを一つ一つ検討し、ライフサイクルを通じてシステムモデルを活用することで上記の目的が実現できるモデルベース開発をデザインすることでした。つまり、現在モデル化をしていない何を、どのようなモデルにするか。あるいは、現在すでにモデル化をしている何を、どのようなモデルに変更するかを考えることです。目的を考え、このモデルベース開発のアプローチをデザインすることだけで、ほぼ1年を有しました。
その後、どのようなモデルを活用するか、とうことを考え始めたのですが、適切にシステムモデルを標記するための記述法がなかったために、SysMLを作る方向に進みました。
ちなみに、結果として、当該部署ではSysMLは使わないこととなりました。あまりにも汎用的すぎて、目的のためには”Too much"だったようです。
もしモデルベースシステムズエンジニアリングをはじめたい方は、もちろん、SysMLの勉強として、いろいろなものをSysMLの標記法で書いてみるのはいいですが、本格的に進めるためには、やっぱり上記のようなことをしないと単に書いてみただけで、目的に適合しない活動になってしまうようです。
でも、そのためには、まずはシステムズエンジニアリングを理解しないと検討すらできないという問題点にぶつかってしまう場合も多いのですが。。。。




posted by しらぴー at 20:56| Comment(0) | システムズエンジニアリング
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