2015年08月30日

研究テーマ

昨日も、SDMの受験を考えている学生の訪問があり、いろいろと話していると、「Webサイトの情報だけからだと全然わかりませんでした。直接来て良かったです!」ということを言われた。
本当はこれは、「Webサイトの情報が十分ではない」ということを逆に指摘されているというとになるんですが、一方で、伝わりにくいってのも確かだなぁと常日頃感じています。
というのも、入学した学生に、しばらくしてから「白坂先生の研究って、宇宙開発関係だけじゃないんですね」と言われることがあるからである。実際には、宇宙開発関係の研究をする学生は、春入学生で1名いるかいないかくらいで、秋入学生も半分くらいしかいない。そういう意味では、留学生のほうが、そのテーマの研究をする学生は多いことになる。では、そちらの研究はどうやっているかというと、特任の先生や、研究員、あるいは他大学の先生とやっているのである。
そもそも、方法論の研究というのが伝わりにくいというがあるかと思う。というのも、「ジャンルを問わない方法論の研究」という研究領域そのものもがあまりないためではないかと思う。システムズエンジニアリングも、本来は、(少なくとも工学分野において)適用領域を問わない(ジャンルによらない)方法論であるのであるが、日本だとそれすら受け付けるところが少ない。海外を見ても、それほど多くない。ましてや、社会システムも対象にして、ビジネスの方法論や、地域活性化の方法論など、社会システムのいろいろな方法論も含めて、”ジャンルを問わない”方法論の研究というと、全くどんなものかの想像もつきにくいのかもしれない。
更に、6月にはKEIO EDGE Creative Loungeもオープンし、すぐにプロトタイピングなどをすることができる環境まで出来上がってきたものだから、更に「何をやっているところなのかわからない」のかもしれないなぁ〜と思う。
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白坂研に関して言うと、「対象によらず、とにかく何かをやってみるところで立ち止まるのではなく、更にそれを突き詰め、汎用的にする、つまり方法論化、体系化までやる研究室」ということになる。研究テーマもあまりにも多様なので、いつも「研究室に配属されたらどんな研究ができるんですか?」という質問には困ってしまうのである。
近々の学生の研究テーマは以下のようなものがある。
【修了生】
○イノベーション創出関連
・価値と主観で評価・統合するアイデア収束手法の構築
・構造シフト発想法のデザインと有効性の評価
 ―親和図と2軸図を適用した発想手法の評価ー
○業務・組織関連
・持続的組織ナレッジマネジメントのための階層化知識継承・創造モデルの研究
・アシュアランスケースを用いた業務の品質保証方法の提案
・企業における目に見えない資本の価値を測定する方法論の構築 ―企業とステークホルダーとの関係性に着目した価値測定方法論の提案と事例による評価―
・国際標準化活動における交渉分析・戦略構築フレームワークの構築
・多様性適応力の測定尺度の開発―日本ブラインドサッカー協会が実施するワークショップを題材にして
○システム開発関連
・大規模災害の発生直後に利用可能な衛星通信システムの設計
システム開発関連
・超小型衛星開発における中小企業間協調利用型コンフィギュレーションマネジメントシステム
・システムズエンジニアリングに基づくアシュアランスケース記述方法の提案―トレーサビリティの見える化と階層性を利用した段階的品質確認の実現―
・情報ライフサイクル上のUXを考慮した持続可能な運用システムの構築―中小企業ウェブサイトを実例として―
・ユーザによる個性演出可能な超小型車両のための電気アーキテクチャ設計手法
・経営者視点からの情報システム開発評価手法
・要求仕様書の曖昧要求に対するリスク管理手法の提案
○教育関連
GRCSEを活用し企業内要員に合わせたシステムズエンジニアリング 知識教育講座の設計方法
○社会システム関連
宇宙外交の計画フェーズにおいて有効な機能とその実現手法の提案
【在学生】
・3次元モデルを用いた抽象的概念の表現能力の向上
・社会システムの設計コンセプトの構築手法の開発と検証
・コーズ・リレーテッド・マーケティングの導入を容易にする設計手法
・人に何かを続けさせるための手法の研究
・俯瞰フレームワークの構築
・ソーシャル・キャピタルの成熟度モデルの開発
・有人宇宙システム開発の異なる文書間に記述される安全に関する情報統合手法
・自動車開発技術へのSEプロセス導入の為の方法論
・自動二輪車の開発組織における企業改革のシステムデザイン研究
・Urban Farm: Biological Business Ecosystem Design for Kaka’ako, Hawaii
・D-Case Templates for Applying SQuaRE to Thermal Subsystem of Microsatellite
・Knowledge Management Framework for Micro Satellite systems engineering activities
・A Framework to Describe Risk Management Thinking Process

う〜〜ん。本当に多様だなぁ。
posted by しらぴー at 08:53| Comment(0) | SDM
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